「山村留学、後悔した…」は本当?保護者の体験談で知るメリット・デメリットのリアル

体験談

「子どもを自然豊かな環境で育てたい」「都会では得られない体験をさせたい」そんな思いから、山村留学を検討する保護者の方が増えています。しかし、インターネットで検索すると「山村留学 後悔」といったキーワードも目に入り、不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、山村留学を検討しているけれど、実際の情報が少なく、体験者の声も聞いてみたいという保護者の皆さんに向けて、山村留学の魅力や仕組み、そして気になるメリット・デメリットを、子どもを離島の山村留学に行かせた実際の体験談を交えながら詳しく解説します。

この記事を読めば、山村留学に対する漠然とした不安が解消され、後悔しないための具体的なヒントが得られるはずです。ぜひ最後までご覧いただき、お子さんにとって最高の選択をするための参考としてください。

本サイトの管理人の紹介

元々は東京在住。3人の子ども(2男1女)がいる。小4長男を鹿児島県の種子島へ里親留学(ホームステイ)に行かせる。その翌年、家族ともども離島に移住し、現地で家族留学者として5年間生活を送る。我が子以外にも、毎年来る山村留学生とコミュニケーションの架け橋となって暮らす。

実際どうなの?山村留学は後悔?最高の経験?

山村留学は、子どもたちが親元を離れ、豊かな自然環境の中で、現地の学校に通ったり、その土地ならではの体験活動をしたりする取り組みです。期間は数週間程度の短期から1年以上の長期まで様々ですが、このサイトでは、私が実際に申し込んだ「まるまる1年留学するタイプのもの」をご紹介します。

山村留学の主な仕組み
滞在形態:寮、里親、農家民宿、家族と一緒になど、様々なパターンがあります。
活動内容:現地校への通学、農業体験、漁業体験、林業体験、郷土文化体験、自然体験活動など多岐にわたります。
サポート体制:現地の指導員やコーディネーター、里親さんなどが子どもたちの生活や学習をサポートします。(家族で一緒に山村留学に行く場合には自分たちで現地のコミュニティに関わっていく必要があります)

「山村留学」と一言で言っても、その内容は千差万別。だからこそ、「後悔した」という声もあれば、「最高の経験だった」という声も聞かれるのです。大切なのは、ご家庭の方針やお子さんの特性に合った山村留学の形を見つけることです。

なぜ?山村留学で「後悔した…」の声があがる3つの理由

ネット上で「山村留学」と検索すると、同時検索ワードに「後悔」が表示されます。なぜ「後悔」というワードがあがるのでしょうか?考えられる主な理由を3つご紹介します。

①「山村留学」に対しての情報が圧倒的に少ない

あなたの身の回りに「実際に山村留学に行った人」はどのくらいいるでしょうか?ほとんどの人が身の回りにいないのではないでしょうか?このような「経験者の話を直接聞く経験がなかなかない」ということがそもそも不安を感じさせる一番大きな要因となります。人間は知らないものに対しては好意的なイメージよりもマイナスのイメージの方が先によぎります。そのため、山村留学についてのリアルな情報をなかなか聞くことができないということが、不安を生じさせるもとになります 。

(我が家の場合)実は山村留学を決める前に、友人で山村留学に行かせた人がいました。その人の話を聞き、「お、ここは良いかも」と思ったのがきっかけでした。そのため「分からないから不安」というのはとても小さかったです。

②人間は「良い情報」よりも「悪い情報」の方が印象に残る

ネット上を探してみると、実は「良い情報」も「悪い情報」も両方出てきます。しかしいくら良い情報を目にしても、悪い情報を目にすると「やっぱりマイナス面はあるよなぁ」と警戒心が働きます。確かに「悪い情報」も実際にありますが、過度に「悪い情報」に影響を受ける必要はありません。どんなものでも「良いこともあれば悪いこともある」、その両方があるのは間違いありません。そういう意味においては、過度な理想・期待を持つことも、逆の意味で後悔につながる可能性があります。

(我が家の場合)「良いことも悪いこともある」「それも人生経験だ」と言うスタンスからスタートしました。そのため、過度な期待も不安も抱いていなかった、というのが一番良かったと感じています。

③子どもとのコミュニケーション不足・意思の不一致

山村留学は、親の希望だけで進めてしまうと、子どもにとって大きな負担となることがあります。子どもの年齢や性格によっては、親元を離れることへの不安が強く、環境の変化に適応できないケースも。留学の目的や期間、現地の様子などを子どもとしっかり話し合い、本人の意思を尊重することが大切です。

(我が家の場合)実は山村留学について最初に興味を持ったのは息子本人でした。当時、宇宙に興味のあった息子に「種子島でこういうもの(山村留学)があるんだよ、面白いね」と何の気なしに話したことがきっかけで、本人が「行きたい!」と言い出しました。親としては不安もありましたが、まずは本人の中から行きたい気持ちがあったことが申し込む一番の決め手になりました。

これらの「後悔」の声は、(我が家の場合)をご覧いただければわかるように、裏を返せば、事前の準備や心構え次第で避けられる可能性が高いものですので、過度な不安をいただく必要は全くありません。

【体験談】「こんなはずじゃ…」山村留学のリアルな失敗談・デメリット

とはいえ、そんな我が家でも、当初思い描いていたものが実現されない、想定していなかったことが起こる、というケースも当然存在しました。

・一緒にホームステイしていた留学生と仲良くなれなかった

息子が行っていた形式は、山村留学生2名が一つの里親さんのところにお世話になるタイプのものでした。実は、息子にとってはこの「一緒にホームステイしている留学生」が一番問題でした。東京にいた頃は誰とでも仲良くできるタイプ(に見えていた)息子でしたが、この「一緒にホームステイしている留学生」とどうしてもソリがあわず、度々喧嘩していました。里親さんも上手く取り持つように動いてくださっていたようですが、結局最後まで仲良くなれなかったようです。しかし、この経験から「仲良く慣れない相手と上手く距離を取る」と言うことを学んだようです。

・思ったほど「離島生活」を堪能できなかった

東京を離れて、いわゆる田舎と呼ばれる土地で暮らすことは、自然の中で遊ぶ経験が沢山できるだろう、と思っていました。しかし、これが思ったほど多くなかったのです。ポイントは2つあります。一つは「里親さんが農家であり、土日も仕事がある」ということでした。種子島を堪能しようとするとどこに行くにも車が必要です。つまり子どもだけでは行けないのです。農家で忙しい里親さんの元では、なかなか土日に外出する機会がありませんでした。もう一つは、現地の子どもたちも「やっぱりゲームで遊ぶことが多い」ということです。東京も種子島も、子どもが好きなものはやっぱりゲーム。現代っ子なんですよね。考えれば当たり前のことかもしれませんが、この点については盲点でした。

これらのデメリットは、決して山村留学そのものを否定するものではありません。むしろ、「そういうこともある」と事前に知っておくことで、心の準備をしたりすることができます。

【体験談】苦労が報われる!山村留学のリアルなメリットと子どもの成長

一方で、山村留学にはそれを補って余りある素晴らしいメリットや、子どもの大きな成長もありました。

・食べ物の好き嫌いが減った

「なんだ、こんなことか」と思われるかもしれません。しかし、食習慣・好き嫌いを直すのはなかなか簡単ではありません。ホームステイ先では、そんなにワガママが言えないのはもちろんありますが、それ以上に印象的なのが、息子が「東京よりも野菜が美味しく感じる」と言ったことでした。ホームステイ先が農家でもあり、農作業を手伝うこともしばしばあったことが「野菜を身近に感じさせる」「新鮮な野菜が食べられる」と言うことに繋がり、好き嫌いが減ったのではないかと考えます。

・内気な性格が外交的になってきた

これはホームステイとして一人で行っていた長男ではなく、家族で移住した後の娘の変化で強く感じました。元々東京にいた私たちですので、娘は35名学級に属していました。それが移住後の学校では、なんと!学校全員で30名にも満たない少人数。1クラス当たりの人数も5名〜6名程度。東京にいた時には大人数の中で中心の外側にいて恥ずかしがり屋で消極的だった娘が、少人数クラスだと強制的に「クラス全員が中心」となるため、自分の意見を言う機会もあり、それが数少ない人数の中で行われる、ということが恥ずかしがり屋の娘にはとても合っていたようで、通い出してから半年も経たないうちに学校でしっかりと話せるようになっていきました。東京にいた頃には人前で話すことを極度に恥ずかしがり、涙を出すほど嫌がっていた娘の変化にはとても驚かされました。

・社会や環境に対しての多様な視点が身に付いた

東京には当たり前にあるものが種子島にはありません。例えば、流行りのスポットや遊ぶための施設、美術館や博物館などの文化施設も種子島にはほとんどありません。しかし一方で、種子島に当たり前のようにある海や森、畑、多様な生き物(東京ではなかなか目にしない昆虫や爬虫類など)が、東京にはありません。どちらが良い悪いと言うことではなく、「今目の前にある環境は当たり前ではない」「もっと違う環境が世の中にはある」と言うのを、知識ではなく体験として知っていることはとても貴重な経験だと感じています。これは東京で暮らしていただけでは得られない視座です。

・自然の美しさ、楽しさを経験できた

私たちが種子島で住んでいる家は、徒歩5分で海に行ける場所にあります。夏には気軽に釣りに出かけたり、貝を取りに潜ったり、シンプルに海に飛び込んだりして遊べます。また夜になると、家が少ないために明かりがほぼなく、上を見上げるだけで満点の星空が、まるで天然のプラネタリウムのように存在します。「◯◯流星群」のような、その時しか見られない特別な星もとても綺麗に見えます。

・協調性やコミュニケーション能力が身についた

前述の通り、学校は30名にも満たない少人数です。そのため、1年生から6年生まで全員が友達になれます。また学校の先生も全員の生徒のことを知っており、生徒もまた全員の先生のことをよく知っています。そして少人数の学校だからこそ、当たり前のように生徒の保護者が学校に関わります。運動会の準備や片付けも一緒に行うこともごくごく自然な風景です。そのような環境ですから、異年齢の子ども同士で何かを行うことが多く、また子どもが大人と話す機会もとても多いです。このような交流を通じて、協調性やコミュニケーション能力が育ってきたと感じます。

このように、山村留学は子どもにとってかけがえのない体験価値をもたらし、心身ともに大きな成長を促す可能性を秘めています。

【まとめ】リアルを知れば怖くない!後悔しない山村留学のために

山村留学は、子どもにとって素晴らしい成長の機会となる一方で、事前の準備や心構えが不十分だと「後悔」につながる可能性も否定できません。

後悔しない山村留学を実現するために、保護者ができること

・子どもとの十分な話し合いと意思の尊重
山村留学の内容を環境などを子どもに分かりやすく説明し、本人の意思を確認しましょう。
無理強いは絶対にNGです。子どもの前向きな気持ちがあってこそ、山村留学はより良い家経験になります。子ども自らが「行ってみたい」「楽しそう」と思えることが絶対条件です。

・徹底的な情報収集と比較検討
山村留学は全国各地にあります。複数の団体や地域の情報を集め、プログラム内容、費用、期間、サポート体制などを比較検討しましょう。里親の元にホームステイするタイプのもの、寮に入るタイプのもの、家族と一緒に行くもの、など様々です。もし子どもが強く不安に思うタイプで、保護者さんの都合が付くのであれば、一緒に家族で行くこともお勧めします。実際、種子島ではホームステイタイプよりも家族で山村留学されるケースの方が多いです。

・出来るだけ「今いる環境と異なる環境」を選ぶ
都心に住んでいるなら少人数のコミュニティがある場所。山が近い場所に住んでいるなら、海に近い場所など、異なる社会構造・環境に身を置くことが、子どもの経験に幅を持たせます。せっかくの機会ですから「世界は広い」「色んな価値観がある」ということを身をもって知ることは、とても貴重な人生の糧になるでしょう。

・「完璧」を求めすぎないスタンスと柔軟な対応
すべてが計画通りに進むとは限りません。予期せぬ出来事や困難も起こり得ると心構えをしておきましょう。問題が起きた際には、一人で抱え込まず、受け入れ先や周囲に相談し、柔軟に対応しましょう。何よりも、子どもが心身ともに健康で、笑顔で過ごせることを第一に考えましょう。親のスタンスとして「行きたいと言ったのは貴方だよね?最後まで頑張りなさい」ではなく、「合わないこともあるかもしれない」くらいの余裕を持っておいた方が、万が一の時にあたふたせずに済みます。

山村留学は、親子にとって大きな決断です。しかし、リアルな情報を知り、しっかりと準備をすれば、「後悔」を避け、子どもにとってかけがえのない「最高の経験」にすることができるはずです。この記事が、皆さんの山村留学への一歩を後押しできれば幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました